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「生成AI、もう使ってますか?」
この質問を、僕はクライアント企業の経営者に何十回としてきた。返ってくる答えは大きく二つに分かれる。「ChatGPTくらいなら触ってます」か、「正直、よくわからなくて」か。
どちらの答えにも、僕は同じことを伝えている。
「使えるか使えないかは、実はそんなに大事じゃないんです」
道具の前に、思想がある
僕は株式会社ISSEN GLOBALという会社で、中小企業のDX支援をしている。AIコンサルタントという肩書きだが、やっていることの本質は「道具を売ること」ではない。
会社を始めたとき、一つだけ決めたことがある。
「思想はツールに依存しない」
これはうちの会社の根っこにある考え方だ。どんなに優れたAIツールが出てきても、それを「なぜ使うのか」「誰のために使うのか」が定まっていなければ、ツールは宙に浮く。逆に、思想さえ定まっていれば、ツールが変わっても揺らがない。
生成AIとの向き合い方を語るとき、多くの人はプロンプトの書き方やツールの選び方から入る。でも僕は、そこからは始めない。
「人が先、AIは後」の本当の意味
ISSEN GLOBALは「Human-First DX」を掲げている。人が先で、デジタルが後。これは単に「人間を大事にしましょう」という精神論ではない。
たとえば、ある企業で業務フローを23個のツールで回していた。現場の人たちは日々それを使いこなしていたが、なぜそのツールなのか、他に選択肢はないのか、誰も問い直したことがなかった。
僕がやったのは、まずツールを全部棚卸しして、一つひとつに「なぜこれを使っているのか」を問い直すこと。すると、惰性で使い続けているもの、重複しているもの、本来の目的とずれているものが次々に見えてくる。
生成AIも同じだ。「便利そうだから導入する」ではなく、「この業務の、この部分の、この課題を解決するために、今の選択肢の中でAIが最適かどうか」を考える。その順番が逆になると、ツールに振り回される。
僕自身の「生成AIとの距離感」
正直に書く。
僕は毎日、生成AIと仕事をしている。事業計画を壁打ちし、クライアントへの提案書をレビューしてもらい、コードのベースを一緒に書く。AIは僕にとって、もはや「ツール」というよりも「壁打ち相手」に近い。
だが、最終的な判断は必ず自分でする。
AIが出してきた提案をそのまま使ったことは一度もない。必ず自分の目で見て、自分の言葉に置き換え、自分の文脈に合わせて編集する。なぜなら、クライアントの前に立つのは僕自身であり、その言葉に責任を持つのも僕自身だからだ。
この「最後は自分」という感覚を持てるかどうかが、生成AIとの向き合い方の分かれ目だと思っている。
中小企業こそ、構えなくていい
大企業のAI導入事例を見て、「うちには無理だ」と感じる中小企業の経営者は多い。何百万もするシステムや、専任のデータサイエンティストが必要に見えるからだ。
でも実際は、中小企業のほうが生成AIとの相性がいいと僕は考えている。理由はシンプルで、意思決定が速いからだ。
社長が「これ、やってみよう」と言えば、翌日から試せる。大企業なら稟議を通すだけで数ヶ月かかることが、中小企業なら一日で始められる。このスピード感は、日々進化するAIの世界では圧倒的な強みになる。
大事なのは「完璧に理解してから始めよう」としないこと。まず小さく触ってみて、自社の業務に合うかどうかを肌で感じる。合わなければやめればいい。それだけのことだ。
「使いこなす」から「付き合う」へ
冒頭で「使いこなす」という言葉への違和感を書いた。その理由を最後に伝えたい。
「使いこなす」は、道具を完全にコントロールするというニュアンスがある。でも生成AIは、完全にコントロールできるものではない。時に予想外の答えを返し、時に的外れなことを言う。それは欠点ではなく、特性だ。
僕は「付き合う」という言葉のほうがしっくりくる。相手の特性を理解し、得意なことは任せ、苦手なことは自分でやる。完璧を求めず、でも信頼はする。人間関係と似ている。
生成AIは、あなたの会社の「新しいメンバー」だと思ってみてほしい。最初から完璧な仕事はできないが、伸びしろは大きい。大事なのは、そのメンバーをどう迎え入れるか——つまり、あなたの会社の「思想」が問われている。
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